CREATOR

香りの概念を変える挑戦
〜新しい価値を創り、未来を描くこと〜

一般的に料理人は、レストランで仕事をするのが当たり前だと思われています。しかし、これだけテ クノロジーが発達した今、“料理をしているだけ”では第一線から取り残されてしまうでしょう。どう すれば自分の知識や技術をアウトプットできるのか、そしてひとつのプロダクトにできるのか、考 えるべき時代に来ていると思います。私はこれまで、香りをテーマに料理を作ってきました。そん な自分の強みを形にしたものがL'.Aromatisaneです。

自分の長所をどう形にしていくのか、そこを考えることで、飲食業界での生き方は変わってくるは ずです。10年間修行をして自分の店を持てればOKという考え方ではなく、シェフになるタイミング で、自分の能力をどの方向で発展させていくのか――若い人たちがそういう発想を持って働くこと ができれば、料理人に限らず、自分の将来の描き方は変わってきます。

残念ながら、働き方という部分で見ると飲食業界は時代錯誤です。この業界を自分の次の世代、さ らにはその次の世代……と人が集まってくる環境にするためには、今、誰かが働き方を変えなけれ ばいけません。私が料理人として培ってきた知識や技術を、料理にとどまらない方面で発揮しなが ら、若い人たちが目指せる世界にしたいと考えています。

加えて今の時代は、いいものが何なのかわかりにくくなっています。本当にこだわって作っている 人の食材がなかなか認知されなかったり、彼らの食材がなぜ高いのか理解されなかったりします。 高齢化が進む中で、一次生産者の跡取りがいないという問題もあります。誰かがそういう人たちを 守っていかないと、日本が世界に誇る食材という大切な資源は枯渇してしまうでしょう。生産者や 食材を守り、理解してもらえる活動や発信をしていく必要がありますし、こうした問いを投げかけ ていくことで、少しでも世論を変えることができれば――それが自分の使命のようにも思います。

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L'.Aromatisaneは、コーヒーやお酒を飲めなかった私が「おいしいハーブティーを作りたい」と考 えたことがきっかけで、その試作がスタートしました。初めは趣味の延長のような形でトライして いましたが、L'.Aromatisaneのようなプロダクトは世界でも類例がなく、試作を重ねるごとに「こ れは自分が作らなければいけない」という思いが強くなっていきました。世の中にはいろいろなブレ ンドハーブがありますが、どのハーブティーよりもおいしいものが作れるという予感があり、寝る 間も惜しんで作業に没頭できました。完成したL'.Aromatisaneは、香りの概念を変えられるものに なったと確信しています。

香りとは、記憶と時間をつなぐものです。五感の中で香りだけが唯一、脳に直接届き、さまざまな 記憶を呼び起こします。楽しんでいる時間、空間、そして、誰と過ごしたのか――そういったこと を、香りは記憶にとどめてくれます。別の言い方をすれば、L'.Aromatisaneを体に巡らせることで、 向き合う人に香りのイメージを届けることができるわけです。

リラックスしたいとき、前向きになりたいとき、自分を高めたいとき……ぜひL'.Aromatisaneを試 してみてください。人生をより豊かにするためのきっかけのひとつとして、香りの力が働けばと願 っています。

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田村浩二Koji Tamura

L'.Aromatisaneクリエーター

フレンチシェフ。東京、フランスでミシュラン星付きの有名店で 活躍。世界的に有名なサンペレグリノ世界ベストレストラン50 の2016年ディスカバリーシリーズ(次世代のレストラン、シェ フ)に掲載。ミシュランと並び称される、ゴ・エ・ミヨにて、 2018年「期待の若手シェフ賞」を受賞。食材と香りの斬新な組 み合わせを料理に取り入れ、香りの領域を独自に切り開く。その 類稀なる才能が提案する新たな価値として、L'.Aromatisaneを プロデュースする。

Koji Tamura